K516
昭和49年卒 田中(森田)麗子
井上先生は大変あっさりした方というのが私の長年にわたる先生の印象です。…
先生は話も短いし,ぐちやぐちや言わない。愚痴っぼくないし,話が分る。人の非難もしない。当然裏切りもしない。大変素晴しい人格をお持ちと見受けます。自由な慣習に憧れて先生の特研に入って,みんなでワイワイガヤガヤ,少し実験もして,オイルショックだ。(物がなくなる。買物にいこう)中華料理だ。(神戸の東天閤に行こう)ステーキは案外ミヤコホテルがいいよ。バーはサンボワに限る。すき焼きは松阪の和田金。楽しい一年でした。
一方,先生はクラッシック音楽も大変詳しく,たくさん教えて頂きました。モーツァルトのK516の弦楽五重奏曲,K563のディベルティメント等々,先生に教わって今でも好きでよく聴いています。当時モーツァルトのピアノソナタ全集のレコード(演奏はヘプラーでした)を先生のお宅で聞かせて頂いたことも記憶に鮮明です。K310のピアノソナタもその時知りました。レコードが棚にびっしり並んでいてワクワクしたのを覚えています。
もう一つ,私の実家は海産物問屋ですが,“森田君,一番上等のわかめを譲ってほしい”と言われ15kg(大型洗濯機の箱位の大きさ)を配達しました。あの15kgの乾燥わかめをどうされたのか,今でも不思議でなりません。
その後,私は松永先生の教室に助手として残り,現在に至っています。いろんなことがありましたが,後ろに井上先生がおられたことが(学校では話すことも殆どなかったのですが)私にとってどれ程心強かったかは言う迄もありません。特に爆発の際の先生の御助言は恐らく一生忘れない出来事と思います。
不肖の弟子ですが,今迄本当にいろいろ有難うございました。先生の御健康を心からお祈り申し上げます。
昭和48年(1973) 特研旅行
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