想いで
昭和44年卒 中嶋光
「お一い,肉3キロ買うてきたぞ上「お疲れさん,そしたらぼちぼち行こか」冬の日もどっぷりと暮れたJR(当時は国鉄ですが)天王寺駅前に男女の大学生が10人程集まりワイワイ,ガヤガヤやっています。夕方から雨がしとしと降りだして傘の花が咲いています。「夜目,遠目,傘の内というのはほんまやなあ上「何いうてんの,私は最初からきれいもん!」
年の瀬もおしつまり,道行く人は若者のこんな会話に気もとめず足早に通りすぎて行きます。これが井上先生宅での忘年会の好き焼きパーティーのはじまりでした。先生の「肉だけ持ってきたらあとは全部まかせとけ」という言葉にあつかましく自宅に押しかけたのでした。みんな元気で飲むわ,食べるわであっという間に酔っぱらってしまいました。
この日,お酒の飲み方について先生の御指導があったのか,なかったのか,もしあったとしたらそれが良かったのか,悪かったのか記憶が全くありませんが,とにかくひどく酔っぱらったのが私を入れて数名おりました。酒にビールにウイスキーにブランデーとくれば酔わない方が不思議です。夜も更けてぼちぼち失礼する時間になったのですが,これからが大変でした。
先生の研究室の特研生ではなかったのですが,特別参加のO君はとても歩けないので先生のところで泊まらせてもらうことになったのです。ところがO君は「僕はフトンでは(タタミの上という意味)寝られない。ベッドはないのか」と言いだしでみんなのひんしゅくを買いました。また,私はゲロゲロとやりだしてとても一人では帰れないので自宅近くの駅まで助手のT先生に送ってもらったそうです。タクシーと電車を乗りついで帰っだそうですが当の本人には記憶がありません。翌日の昼頃,目をさますとコートに緑色のペンキがべっとりとついていました。
これが先生とお酒を本格的に飲んだ最初でした。以後先生の御指導のもと,お酒との深いおつきあいがはじまったのです。あれから20数年の年月が経ちましたが,今でも当時のことがあざやかによみがえってきます。
私の青春に楽しい1ページを下さった井上先生,本当にありがとうございました。これからもお元気で。
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